日本の再生可能エネルギー業界で注目を集めているのが、浮体式洋上風力発電の普及とコスト低減に向けた技術開発です。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、グリーンイノベーション基金事業の一環として、2025年2月から浮体式洋上風力発電の社会実装に向けた新たな研究開発を進めています。この取り組みは、日本の洋上風力産業を国際的な競争力のある産業に成長させるための重要なステップです。
1. プロジェクト概要
NEDOは、「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトを進めており、その一環として「浮体式洋上風力における共通基盤開発」の研究テーマを採択しました。本プロジェクトでは、国内企業を中心に協調体制を構築し、技術開発を進めるとともに、浮体式システムの規格化、大量生産の実現、さらに深海を対象とした技術開発が進められます。また、国際標準化を視野に入れた取り組みも行い、グローバル市場に対応できる技術を確立します。
詳細はNEDOプレースリリースより 2025年2月13日 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101808.html: グリーンイノベーション基金事業:「浮体式洋上風力における共通基盤開発」への取り組み2. 目指す成果
本プロジェクトの目的は、浮体式洋上風力発電技術の早期社会実装を促進することにあります。具体的には、以下の成果を目指しています:
- 浮体システムの規格化と設計基準の確立
- 大量生産を可能にする生産技術の開発
- 深海での風力発電の展開に必要な係留システムおよび送電技術の開発
- 国際標準の実現とグローバル市場への対応
これにより、日本が世界的な浮体式洋上風力市場でリーダーシップを発揮し、エネルギー供給の多様化を進めることが期待されています。
3. 実施内容と研究開発項目
本プロジェクトは2025年度から2030年度までの期間で進められ、約40億円の予算が投じられます。研究開発項目には、以下の技術開発が含まれています:
- 浮体システムの設計基準・規格化
浮体システムの最適設計基準を確立し、他の地域でも利用可能な規格を開発します。 - 大量生産技術の開発
浮体システムを効率的に大量生産できる技術を開発し、コストを削減します。 - 深海対応の係留・アンカー施工技術の開発
深海でも安定した運用を実現するため、係留技術の開発を進めます。 - 送電技術の開発
大水深の海域における効率的な送電技術を確立し、発電した電力を安定的に供給します。 - 遠洋風況観測技術の開発
遠洋地域での風況を正確に把握するための観測手法を開発します。

4. 日本の洋上風力産業の競争力強化
本プロジェクトは、日本の洋上風力発電技術を次のレベルへと進化させる重要な取り組みです。国内企業が中心となり、国際市場で通用する技術を共同で開発することで、日本の競争力が強化され、再生可能エネルギーの普及にも大きく貢献することが期待されています。
5. まとめ
浮体式洋上風力発電の低コスト化と国際展開に向けた取り組みは、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた重要な一歩です。NEDOのグリーンイノベーション基金事業は、技術開発と社会実装を推進し、将来のエネルギー供給を支える重要な要素となることでしょう。今後の進展に注目が集まります。