日本は、洋上風力発電の導入を加速させており、その象徴的なプロジェクトの一つが長崎県西海市江島沖洋上風力発電プロジェクトです。本事業は、日本政府が進める第2回洋上風力発電入札(通称:ラウンド2)の一環として実施され、2030年までに10GW、2040年までに30~45GWの洋上風力発電容量を確保するという国家目標達成に向けた重要なステップとなります。
本プロジェクトの総発電容量は420MWに達し、着床式洋上風力発電として日本の電源構成の脱炭素化に大きく貢献するとともに、地域産業の発展や経済活性化を促進することが期待されています。この記事では、プロジェクトの詳細、スケジュール、推定されるCAPEX&OPEXについて詳しく解説します。
プロジェクト概要
プロジェクト名 | 長崎県西海市江島沖洋上風力発電事業 |
開発事業者 | みらいえのしま合同会社 |
コンソーシアム | 住友商事株式会社、東京電力リニューアブルパワー株式会社 |
設置場所 | 新長崎県西海市江島沖 |
発電方式 | 着床式洋上風力発電 |
風車機種 | Vestas V236-15MW |
供給価格 | 22.18円/kWh |
発電容量 | 420MW(15MW×28基) |
建設開始 | 2025年1月(陸上)、2028年1月(洋上) |
運転期間 | 2029年8月~2055年 |
設置場所

事業概要
住友商事・東京電力リニューアブルパワーの国内外における発電事業の知見を最大限活用し、確実性の高い、安心・安全な工事を実現。漁業振興策、江島の離島振興策、江島を含む地域振興策の3本柱で地域共生策を進め、先進的な離島振興モデルの確立を目指します。
コンソーシアム構成員
住友商事株式会社
- 欧州洋上風力発電事業の開発・運営実績(計1.9GWを運営・建設中)
東京電力リニューアブルパワー
- 国内最大手電力傘下企業での経験(水力・風力・太陽光合計で約10GWの設備量を維持)
事業実施体制
建設期間中

運転期間中

プロジェクトスケジュール
- 開発・設計フェーズ(2024年~2025年)
- 2024年3月:公共入札の受注
- 環境影響評価、風況、波浪、海底地質調査
- 地元協議・調整
- ウィンドファーム認証、工事計画届
- 建設フェーズ(2025~2029年)
- 2025年1月:陸上変電所と送電インフラの建設
- 2027年10月:洋上基礎とケーブルの設置
- 2029年1月:風車の組立と設置
- 運用・保守フェーズ(2029年~2054年)
- 風車の維持管理:Vestas
- 運転管理(BOP):東京電力リニューアブルパワー
- 撤去・再発電フェーズ(2054年以降)
- 風力発電設備の寿命終了時の計画
- 将来のエネルギー政策に基づく再稼働の可能性

CAPEX & OPEX 推定 (NEDOモデルに基づく)
資本支出(CAPEX)と運用支出(OPEX)を、最新のNEDO洋上風力発電コストモデルに従い推定しました。
長崎県西海市江島沖洋上風力発電プロジェクトの資本支出(CAPEX)の推定は約1731億円で、運用コスト(OPEX)は年間約30億円と推定されます。
📌 CAPEX 内訳 (420MW)
資本費の構成 | 推定費用 (億円) |
---|---|
風車 | 952 |
基礎&施工 | 658 |
変電所 & 系統接続 等 | 121 |
合計 | 1731 |
まとめ
長崎県西海市江島沖洋上風力発電プロジェクトは、日本の再生可能エネルギー推進における重要なマイルストーンとなります。持続可能性、経済発展、技術革新に重点を置き、日本の洋上風力発電の拡大に向けた礎を築きます。
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